電験二種 昭和54年 送配電 問1

~送電線路の電圧降下~

問題

図のような三相3線式送電線路がある。受電端の電圧\(70\)[kV]、負荷\(50000\)[kW]、負荷の力率\(80\)[%]のとき、変電所一次母線の電圧を求めよ。ただし、送電線路の1相あたりの抵抗及びリアクタンスはそれぞれ\(2\)[Ω]及び\(5\)[Ω]、変電所の変圧器は定格容量\(200\)[MV・A]、電圧\(154/77\)[kV]、百分率リアクタンスは定格容量基準で\(15\)[%]とし、その他のインピーダンスは無視するものとする。

解答

\(153\)[kV]

解説

送電線路を変圧器二次側に換算した図を示す。

変圧器を二次側リアクタンスに変換する。インピーダンスを\(Z\)、基準容量、基準電圧、基準電流をそれぞれ\(P_n\)、\(V_n\)、\(I_n\)とすると、百分率インピーダンス\(\%Z\)は

\[\%Z=\frac{\sqrt{3}I_nZ}{V_n}\times100=\frac{\sqrt{3}V_nI_nZ}{V_n^2}\times 100=\frac{P_nZ}{V_n^2}\times 100\]

と表せる。定格電圧\(V_n\)に対してどれだけ電圧降下\(\sqrt{3}I_nZ\)が起こっているのかを示している。これを\(Z\)について解くと

\[Z=\frac{\%ZV_n^2}{100P_n}\]

よって、\(\%Z=j15\)、\(V_n=77\times 10^3\)(二次換算のため\(77\)[kV])、\(P_n=200\times 10^6\)を代入して

\[Z=\frac{j15\times (77\times 10^3)^2}{100\times 200\times 10^6}=j4.44675Ω\]

受電端複素電力\(P+jQ\)は、有効電力\(P\)と力率\(\cos{\phi}=0.8\)がわかっているため、

\[Q=\frac{P}{\cos{\phi}}\sin{\phi}=\frac{50000}{0.8}\times 0.6=37500kvar\]

変圧器と送電線路のリアクタンスをまとめる。

複素電力と受電端電圧\(\dot{V_r}\)、線路電流\(\dot{I}\)の関係より

\[P+jQ=\sqrt{3}\dot{V_r}\bar{\dot{I}}\to \dot{I}=\frac{P-jQ}{\sqrt{3}\bar{\dot{V_r}}}\]

受電端電圧\(\dot{V_r}\)を基準とすると、\(\bar{\dot{V_r}}=V_r\)となることから

\[\dot{I}=\frac{P-jQ}{\sqrt{3}V_r}=\frac{(50000-j37500)\times 10^3}{\sqrt{3}\times 70\times 10^3}=412.4-j309.3A\]

二次側換算の母線電圧\(\dot{V_s}’\)は

\[\dot{V_s}’=V_r+\sqrt{3}(2+j9.44675)(412.4-j309.3)=76489.25+j5676.18\]

一次側換算の母線電圧\(\dot{V_s}\)は

\[\dot{V_s}=\frac{154}{77}\dot{V_s}’=152978.5+j11352.36\]

大きさは

\[V_s=153399.14\to 153[kV]\]

出典

昭和54年度第二種電気主任技術者筆記試験送配電問1

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