電験二種 昭和55年 理論 問2

電験二種 昭和55年度

~単相交流回路~

問題

図のように、抵抗、インダクタンス及びキャパシタンスの3素子が直列に接続されている回路に交番電圧E˙(角周波数ω)を印加したとき、次の問に答えよ。

(1)流れる電流の大きさの絶対値|I˙|を求め、かつ、|I˙|ωによる変化を示す図を定性的に描け。

(2)回路に消費される平均電力が、直列共振時の平均電力の12になる半電力点の角周波数を求めよ。ただし、共振角周波数をω0とする。

(3)この回路の共振時の電圧拡大率Q(共振の尖鋭度)を、ω0及び半電力点の角周波数をもって示せ。

解答

(1)流れる電流の大きさの絶対値|I˙|

|I˙|=ER2+(ωL1ωC)2

|I˙|ωによる変化を図に示す。

(2)半電力点の角周波数ω1ω2

ω1=R2L+(R2L)2+ω02

ω2=R2L+(R2L)2+ω02

(3)共振時の電圧拡大率Q(共振の尖鋭度)は

Q=ω0ω2ω1

解説

(1)

回路のインピーダンスZ˙の大きさ|Z˙|

|Z˙|=Z=R2+(ωL1ωC)

であることから、|I˙|=EZより

|I˙|=ER2+(ωL1ωC)

|I˙|ωによる変化を描くため、インピーダンスを複素数Z˙で考える。

Z˙=R+j(ωL1ωC)

よって、Z˙ωによって変化するには虚部のみである。

ωL1ωC=0となるときが共振であり、Z˙の虚部が0となりZが最小となる(Z=R)。このときのω

ωL1ωC=0ωL=1ωCω=1LC

電圧を基準ベクトルとしたときのインピーダンスのフェーザ図を示す。

力率100%       進み力率      遅れ力率

ωが変化してもZ˙の実部は変化しない(フェーザ図中の点線)。

矢印の長さが大きさに当たることから、力率100%のときインピーダンスが最小であり、E˙を中心に対称に動く。

ただし、ω=0(直流)ではコンデンサが開放と等価であることから、|I˙|=0となる。

これを基に|I˙|のグラフを描くと、以下のようになる。

(2)

直列共振時、流れる電流はI0=ERとなる。

電流は、抵抗値が一定のとき電力の平方根に比例することから、半電力での電流Ihalf12倍となり、

Ihalf=I02

が成り立つ。これより、I0Ihalf=2という関係から、半電力での角周波数をωhとおくと、

I0Ihalf=2=ERER2+(ωhL1ωhC)2=R2+(ωhL1ωhC)2R

2R2=R2+(ωhL1ωhC)2R2=(ωhL1ωhC)2

ωhL1ωhC=±R

よって、ωhは2つ存在する。

ω1

ωhL<1ωhCのときのωhω1とすると

ω1L1ω1C=Rω12LC1=ω1CR

ω12+RLω11LC=0

1LC=ω0より、

ω12+RLω1ω02=0

ω1=RL±(RL)2+4ω022

ωは正の値であることから、

ω1=RL+(RL)2+4ω022=R2L+(R2L)2+ω02

ω2

ωhL>1ωhCのときのωhω2とすると

ω2L1ω2C=Rω22LC1=ω2CR

ω22RLω2ω02=0

ω2=RL±(RL)2+4ω022

ωは正の値であることから、

ω2=RL+(RL)2+4ω022=R2L+(R2L)2+ω02

(3)

電圧拡大率(尖鋭度)Qは、回路の鋭さを表している。

Q=ω0ω2ω1

と定義される。

(2)より、ω2ω1=RLであり、

Q=ω0ω2ω1=ω0LR=1ω0CR

とも表せる。

ω=ω0のとき、ω0L=1ω0Cとなることに留意(直列共振)。

出典

昭和55年度第二種電気主任技術者筆記試験理論問2

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